
足の先から体の芯まで冷え込む真冬では、寒さとは裏腹に「熱く生きよう!」と奮い立ち、夏は夏で、この暑さに負けじと「熱く生きよう!」と思うタイプなのですが、猛暑が続く今日この頃、みなさまはいかがお過ごしでしょうか?
上記のように、わたしの場合、季節に関わらず熱く生きたい派。それは、わたしが色でいえば『赤』の質を多く持っているからと言えます。
熱い色が『赤』なら、その比較対象になる色は冷たい『青』です。水道の蛇口でもアツアツのお湯が『赤』で、水は『青』。色の意味そのまま、『赤』は熱く、『青』は冷たい色で、これは単なる違いであって、どちらがいいとか、わるいという善悪はありませんが、時と場合によってどちらかがより有益に働く、ということはあります。
猛暑に「ランチは煮込みうどんにしよう!」とはなりにくく、同じ麺なら冷やし中華やそうめんなどを欲するように、同じ色でも『赤』がいいときと『青』がいいときがあるものです。
色は、可視できる光として可視光線と呼ばれ、電磁波のうち人間の目で見える波長のことを言います。可視光線は約380nm(ナノメートル)から780nmの波長の範囲に相当し、おおよそ『赤』は625〜780nm、『青』は450〜485nmの波長です。可視光線の中で最も大きな波は『赤』ですが、波が大きくないということは細やかに振動しているということで、振り幅が短い分『青』のほうが振動数は高いと言えます。ガスの炎で最も温度の高い部分が『青』なのはそのためです。ドライアイスも冷たすぎて火傷するように、心が受け取る言葉や行為も、あまりに冷ややかだと負傷して(傷ついて)しまいます。
しかし、暑いときに冷たいものは救世主となる場合もありますし、頭に血がのぼるようにカーッとなって怒ったり興奮した場合、「頭を冷やす」なんて言葉があるように、冷静になって気持ちを落ち着かせることが精神的なバランスを整えることに効果的な場合もあります。
『赤』を拒絶したくなるときもあれば『青』がきつすぎることもあるし、『赤』がいいとき、『青』がいいときがある。色の捉え方としては、この考えをベースにしていただきたいと思っています。
それは、答えがひとつではないからです。色の意味を丸暗記しようとすると、目立ったキーワードに気をとられて『赤』の人は行動的で『青』の人は消極的と覚えてしまいがちですが、色と人の関係性はそんなに単純なものではありません。答えはひとつではなく、いろいろな解釈ができるから、あらゆる場面で活用できるのです。
安直に考えてしまうと『赤』の質が強い人は温かい人で『青』の質の人は冷たい人、とか、『赤』の人は怒りっぽくて『青』の人はいつでも冷静、と決めつけてしまいがちですが、このような見方をするのは「10」の答えが「5+5」しかないような見方で、「2+8」もあれば「5×2」など、ひとつには収まりきらない様々な答えがあります。
ただし、傾向はあります。基本的に大きな波長の『赤』の質が強いタイプの人は、熱を持っているので、それがよく表れれば行動的でエネルギッシュ!情に厚くて人助けを好みます。しかし、わるく出ればカーッとなりやすく攻撃的で威圧的。人助けどころか圧力で相手をやり込めてしまいます。ある種の『赤』の傾向はあっても、それがどう働くかは人によって違うということです。同じ人物でも状況・心のコンディションによって異なります。
『青』も同様に、落ち着きがあって穏やかな場合と、冷酷で無情な場合などさまざまな面を持っています。
こういったことからも、色の意味にはたくさんの意味がありますが、見ようによっては同じ色なのに真反対な意味合いと受け取れるようなキーワードが含まれています。
それは一見、ネガティブなキーワードだったとしても、その意味を通して多くの気づきが得られたり、人生の学びとなったり、悩みの解決を紐解くヒントにもなります。どのキーワードも重要な役割を果たしているのです。
たとえば、オレンジ色には、トラウマ・ショックといった、いわゆる「心の傷」を意味するワードがありますが、同時に「至福」や「人間関係」といった意味もあります。人間関係とは傷つくものなのかといえば、そういう場合もあるし至福感を味わえることもある、つまり、人間関係を通して、それらを学べるということでもあります。傷ついた経験が精神的な学びになったと感じられたり、後になって必要な経験だったと、よくわかったと思えるような事柄もあることと思います。
また、オレンジ色には「依存」という意味もあれば「自立」という意味もあり、それこそ真逆の意味ですが、だからこそ連動し関連しているということをオレンジを通して気づくことができるのです。
それでは、カラーカウンセリングでオレンジ色が気になったクライアントがいた場合、どう見ていくと思いますか?
「あなたは自立した人間関係を築ける素晴らしい人ですね!」と褒め称えることもできれば、「トラウマが拭えず、依存傾向にあるのですね」と言うこともできるでしょう。しかし、実際のカウンセリングでは、そんな決めつけた言い方はしません。人の心も人格も他人が決めつけることなどできないからです。色を選んだ人の思いや意見を聞かない以上、どんなに色を選んでもらったところで、意味づけはできないのです。
色を選んだ本人が口にする言葉、こう考えている、こう感じている、こんなことがあった、こういうことをしてきた、していきたい、そういう実際的な内容を伺うことができて初めて色に意味を与えることができ、色の意味が効果を成すのです。
さらに、自分の感想を伝えることもカラーカウンセリングではしません。色彩心理学の講座を開催し、生徒さまと接する機会が増えていくうちにバックボーンが見えてきたり、言葉の選び方や発言、考え方から、特定の色の特定の意味がその人の魅力や才能だと感じられることはありますが、カラーカウンセリングなどで初対面の方とお話をする場合、まったくわからないことが自然なのです。それを決めてかかるのは失礼なことであり、やってはいけないことと心得ています。
自分の直感や自分の経験で他人を推し量ることなどできないし、稀に当たることはあっても、色彩心理学をベースに行うのなら当てもののようなやり方は厳禁なのです。
今までカラーカウンセリングをおこなってきて思うのは、本当に「わからない」ということで、人の心の奥深さや、だからこその人間味、魅力を感じずにはいられないということです。もちろん、わからないからと言って、わからないままにするのではなく、お話をお聞きして、色の意味を頼りに(カウンセリングを)受けられた方の欲しい言葉を導き出していきます。
過去にカラーセラピーの講座を開催していた頃、カラーセラピーを仕事にしたいとおっしゃる生徒さまから受けた相談内容に多かったのは「どうしても決めつけた言い方になってしまう」とか「お話を聞いても、それを色の意味に結びつけるのが難しい」というものでした。
それは、たぶん、色の意味を覚えた段階で思考優位の状態。色の意味を感じきれていないことが原因であったり、説明しようとしすぎていたり、外れたらどうしようという恐れからくるものだと考えられます。外れたらどうしよう、というのは色の意味を感じきれていないから信じきれていないのでしょう。やっている本人(カウンセラー側)が「選んだ色は当たることもあれば、そうじゃないこともあるかもしれない」という認識でいれば、それはそのまま相手に伝わるものです。学びを深めるしかないと思います。
そうなんです。色の学びというのは深く(どの分野でもそうだと思いますが)学びに終わりがないと感じています。しかし、深いからこそ、ハマってしまうと言いますか、面白く、多くの気づきが得られるのです。
純粋に「色が好き!」という方から「本気で色彩心理学を学びたい」という方、いろいろな方がいらっしゃると思いますが、色はちょっと触れただけでも十分に面白いし、学べば学ぶほど知的好奇心が刺激され続けることと思います。ここにも、どっちがいいというものはないと思います。色彩心理学をマスターしていることが偉いわけではないし、とはいえ、しっかり学ぶことで誰かのお役に立てることもあり有益だと感じられることも多々あります。学ばなきゃいけないものではないけれど、学ぶととてつもなく楽しめる分野でもあります。
最初に、わたしには『赤』の質が多い、という出だしで書きましたが、『赤』は短気で負けず嫌いで強情なところがあります。そのため、最初に色の意味を知って「あぁ、なるほど」と思ったものです。そして、学びを深める過程で、その質をコントロールする術が少しずつ磨かれてきました。
苦手だった“省みる”ことや“物事を客観的に見る”ことも補色などを活かしてできるようになったり、『赤』は正義感が強いところもあるため「自分が正しい」という意志をなかなか曲げられず、それによって自分自身が苦しくなることが多々ありましたが、色の学びによってバランスがとれるようになってきました。
もちろん完璧な人間ではないので、まだまだ発展途上ですが、それでも色彩心理学を探求していく過程で「生きやすさ」を実感しているのは確かです。人それぞれの個性の素晴らしさ、苦手だと感じる人にもいい面があること、人の魅力を見つけ出すこと、思いやりのある言葉遣いをすること、人を許すことや人の目を気にしないこと、それらすべて色彩心理学を通して得られた大きな気づきや学びでした。
タイトルにあります、色の意味に“いい・わるいがない”、という点も、色を通して知り得た価値ある学びのひとつで、それを知ったことで、あらゆる場面での見方・価値観が大きく変わりました。
最後に『赤』の質として挙げるのは好き嫌いがハッキリしている点で、嫌いとなれば「No!」と断固拒否。白黒ハッキリ、真っ直ぐで嘘がないという点では見方によっては信頼に繋がる場合もあるかもしれませんが、受容できないことで世界(物事を見る視野)が狭くなりがちです。
頑固な性格ゆえ、本やセミナーなどで、“いい・わるいがない”という捉え方について教えてもらったとしても「そうなのか」と(頭で知ることはできても)心からの理解に繋げることは難しかったかもしれません。色に対極の意味があり、互いの意味が作用しながら成り立つことだとわかったから、心から理解できたのだと感じています。
また、自分の短所を直すのではなく、見方を変えることによって、長所として活かす必殺技も色彩心理学を探求する中で育んできました。
落ち込んだり彷徨ったりしながらも「自分を生きる」ことのサポートになる色の魅力を、わたし自身が知ってよかったと心から思えるからこそ、これからも多くの方々へお伝えしていければと思っています。
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