古代の叡智としての色

元来、古代最初の医療行為は色によるものであったと言われるほど、人間は色により心身のケアをしてきました。衣食住に関わるすべてのものに色があるのは、色は生活の一部で生きていくうえで不可欠だから。野菜や果物を買うとき、鮮度の美しい色のものを選んだり、毎日着る洋服や靴、スマートフォンや部屋のインテリアにしても、好みのものを選び生活に取り入れています。普段から、最も気になる色を手に取り自分自身と調和させているのです。
もしもこの世に色が存在しなかったら?想像するだけでも暗い気持ちになりそうです。青い空、緑の木々、赤い果実などの鮮やかな色から、元気や安らぎを感じた経験は誰にでもあることと思います。
古代の叡智は、時代も国境も越えた偉大な智恵。その智恵の一つである色は、無意識レベルでも、意識的にでも、わたしたちのコンディションを整え、心と体に好影響を与えてくれるものなのです。

目に見える色が教えてくれるもの

色は可視光線という光で、各色固有の波長を持っています。人間の細胞にはさまざまな波動波形が何十兆と存在し、自分の波長に合う色を無意識に選択しています。あの人とは波長が合う、というように波長が合うものを好みます。
ゲーテの『色彩論』においても、幸福感をあらわす色として、赤・オレンジ・黄色などの暖色系、悲しみをあらわす色として青・緑・紫の寒色系が挙げられています。
そのときの自分と共鳴する色に惹かれるため、悲しい気分のときに明るく派手な洋服を着たい気分にはならないことでしょう。心と同じような色で無理のない過ごし方をして調和することは、無意識に自然に治癒する力を発揮している行為に繋がります。
たとえば、暗く沈んだ気分のときは濃紺や紫の色の服を好む傾向があり、それは深い哀しみや孤独を表す色であるのは確かですが、一方では脳を休め、心を沈静化させる癒やしの色でもあるのです。
無意識レベルで、わたしたち人間は色でバランスを取っているのです。
「光の三原色」と「色の三原色」については→こちら
「色とは何か」「色はなぜ見えるのか」については→こちら
「色の三属性」については→こちら

色の意味や特性を知るメリット

分かりやすい色の解釈として、愛と情熱のパワフルな色はレッド、穏やかさと安らぎの落ち着いた色はブルー、陽気でワクワクする明るい色はイエロー、などが挙げられます。まるで、信号機のようですが、まさに信号のように色は人生の流れを円滑にするためのお知らせ的役割を担っています。
しかし、色の意味はそれほど単純なものでもありません。レッドはヤル気満々でエネルギッシュなときに呼応するかのように惹かれるかと思えば、疲労困憊でエネルギー補給したいときに欲する色でもあるのです。ブルーな気分、という言葉があるように落ち込んでいるときに同調するブルーは、心が晴れやかなときに気になる色でもあるのです。“幸せの黄色いハンカチ”という映画は世代によって知らない人もいるかもしれませんが、イエローは幸福を意味するハッピーカラーであると同時に、真逆の不安や恐怖といった意味もあります。
人間の個性と同じで色も長所と短所で成り立っています。つまり、色にも個性があるので、それぞれの色の意味を知ることによって、自分の個性やコンディションに合わせて活用することで、意識的に、感情、思考、行動をコントロールしていくことが可能になります(色の意味(色彩の言語)の解説の詳細はこちら)。

もっと色のことを知りたい方へ

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