色を『眺める』から『使いこなす』へ

中世ヨーロッパの宗教画に登場する聖母マリアは「天の真実」を意味する青色のマントを纏い描かれています。のちに人気が出てくる印象派の画家たちは、それまでの絵画と比べて絵全体が明るく、色彩に富んでいるところが特徴的でした。現在日本でも人気の高い印象派の画家ゴッホも、色のメッセージ性が強い画家のひとりと言えます。ピカソの70億円の価値がついた作品は、色の中でも最も網膜に大きな衝撃を与える赤色がふんだんに使われています。
色には言葉を越えたメッセージ性があり、道徳的で哲学的な部分があります。観て楽しむ色は、その色が持つ意味を上手く利用することで、人生そのものを自由に描ける手段になるのです。

なぜ、特定の色が気になるのか?

色のいいところは、色の波長と人間の波長と共鳴することで、好きな色、気になる色、嫌いな色から現在の状態を紐解いていくことができるところです。
ある色を好む理由はおおよそ『なんとなく』ということが多いと思います。この『なんとなく』にこそ、潜在的なメッセージが隠れており、自分ではなかなか見えてこない部分を客観的に見つめ直せるよう、色が特定のメッセージを教えてくれます。
そのメッセージを知る手がかりは、色の持つ意味を理解するところから始まります。すべての色には意味があり、その意味を知ることで、たとえば青が気になるときは青の意味のテーマがあるということが分かります。
空の色の微妙な移り変わりは大変美しく、心に平和な感覚をもらたしてくれるものですが、色の意味を知るとそれがなぜなのかもグッと理解でき、なぜ空が気になったのか、もっと言えば、自分はなぜその青い空を見つめていたいのか、ということも分かってきます(色の意味(色彩の言語)の解説の詳細はこちら)。

気になる色の意味からわかること

「ブルーな気分」といった表現があるように、青は冷ややかで孤独、寂しく憂鬱な意味を持っています。英語のブルーデビルはうつ病のこと。テンションが低い波長のときは、同じ波長で癒やすことが無理のない改善方法です。
もちろん、暗い意味だけではないからこそ、ブルーな気分のときに青という色が効果的と言えます。青には、寛容さ・安らぎ・平和などの意味があるため、気持ちを落ち着かせてくれる色なのです。
心が沈んでいるとき、無理に明るくしようと頑張るより、気持ちをクールダウンさせ、落ち着いて自分の心と向き合うことで見えてくるものがあります。
人間の才能は孤独なときこそ開花できることは多くの偉人たちにより裏付けられています。青空を眺めることで内省できたり、大きな浮き輪に乗って青い海の上をプカプカ浮かんでいるだけでも、心が元の平和な状態へ戻っていく効果が期待できます。

色の視点で自分を見ることの利点

色の意味を知っていると、「今気になる色は何色だろう?」と自問自答したとき、浮かんだ色の意味が、今の自分が直面しているテーマだということを教えてくれます。疲れているのかな?と感じ取れば休息を心がけてみたり、ヤル気満々になっているかも!と思えれば一層はりきって勢いを増すことができます。
何より良いのは、色の意味を介することで主観的になりすぎていた自分の気持ちを客観的に見れるようになることです。頭で考えすぎていただけで、実は気持ちはこういうふうに思っていたのだと自分の本音を理解できたり、うんとラクに自分に正直になれたりします。
また、客観的に見えることのメリットは、いろいろな視点で物事をとらえられるところ。これを応用すると、今起こっていることの対処だけでなく、過去のショックな出来事やトラウマを違う視点で見たり、自然な形でポジティブな解釈ができるようにもなっていきます。

人生の見え方が変わる色のメッセージ

もしも今まで苦しかった心の傷を色に置き換えてみたら、それは思っていた印象とはまったく違う美しい色かもしれません。そして、その色の意味を知り、違う視点でとらえたとき、実は自分が勝手に創り上げていた傷だったのだと気づくことがあるかもしれません。そうしたら、それが必要な経験だったのだと思えることはもちろんのこと、心が晴れて軽い気持ちになれたことで、過去の執着に終止符を打ち、明るい未来へ、過去を越えた自分に自信を持ってスタートできるようになります。
色の意味を知っていることで、今まで自分だけでは考えつかなかった視点で物事を解決する術(すべ)を手に入れることができるのです。そして、経験を色に置き換えることで、いかに自分の人生が美しい色で成り立ち、彩りあふれるもので、かけがえのないものであるかということも実感できるでしょう(色の意味(色彩の言語)の解説の詳細はこちら)。
また、色彩心理学術協会のYoutubeチャンネルにあります、こちらの動画もぜひお楽しみください。

色の三原色については、こちらの動画で「光の三原色」と「色材の三原色」について説明しています。
色が見える仕組みや可視光線、色の波長に関する情報などはこちらの動画で説明しています。
「色相」「明度」「彩度」などの「色の三属性」については、こちらの動画で説明しています。

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